【erutuoc】世界の工房から20
世界の工房から VOL.020
ギャルソンウォレットの世界
黒いベスト、腰には白いタブリエ。歩道まで広げたテラス席や、カフェを楽しむ人で賑わうテーブルの間を早足で歩き回るギャルソンは、パリを象徴するキャラクターの一つといえるかもしれません。
ギャルソン=Garconの本来の意味は「男の子」で、俗語で飲食店のウェイターを指します。ウェイター・給仕には「Serveur(セルヴール)」という言葉もあるのですが、カフェやブラッスリーで働く人を特に、ギャルソンと呼んでいるようです。もともと、ギャルソンと呼ばれるようになったのは、店内でカフェを運んでいたのが男の子だったからなのだとか。早足で歩き回ったり、プレートを担ぐように運んだりする姿を見ると、「男の子」という呼び名もなんとなくマッチするような気がします。
今回は、そんなギャルソンの必需品・ギャルソンウォレットについてお伝えします。
ギャルソンの持ち物
受け持つテーブルが決まっていて、レジスターではなくテーブルで会計を済ませることも多いギャルソンにとって、必要なものやおつりなどをすぐに取り出せることはとても重要。ここでは服装や持ち物とその工夫を紹介します。
【蝶ネクタイ】Noeud Papillon/ヌー・パピヨン
「ヌー」は結び目、「パピヨン」は蝶のこと。一目ではわからないかもしれませんが、お店やギャルソンによって形が微妙に異なるものがあります。
【ベスト】Gilet/ジレ
カフェやブラッスリーのギャルソンが使うベストとして、「ジレ・リモナディエ」と呼ばれるものがあります。腰の高さに8つの小さなポケットが付いていて、栓抜きなどの小物を分けて入れておけるのが特徴。ちなみに「リモナディエ(Limonadier)」とは、昔のカフェはコーヒーやレモネード(リモナード)を扱うところだったことに由来します。
【腰巻タイプの小銭入れ】Ceinture Porte-monnaie/サンテチュール・ポルト=モネ
少しわかりにくいですが、右上の写真のギャルソンの腰部分に巻かれているのがCeinture Porte-monnaie/サンテチュール・ポルト=モネ。身に着けるお財布といったイメージでしょうか。腰に巻くように装着するリモナディエ・スタイル、紐付きでエプロンに近い形のタブリエ・スタイル、その他メーカーのロゴ入りのものなどがあります。ポケットにはコインのほかに、コースターを入れている人もいるようです。
ギャルソン・ウォレット?ギャルソン・パース?
ギャルソンは、それぞれの持ち場が決まっていて、自分の区画を担当します。注文や清算の際に声をかけるのも担当のギャルソン。多くのカフェではギャルソンがテーブルで代金を受け取り、財布やベストから小銭を出して清算します。
その独特のスタイルから、上で紹介した「腰巻タイプの小銭入れ」やギャルソンウォレットなどの工夫が生まれてきました。
財布を“腰に巻く”“身に着ける”という発想があるように、ギャルソン向けの財布はバッグとしての要素を含んでいるように思います。紙幣(5、20、50ユーロ)を分けて入れるために仕切りを設けたり、ポケットが連なったような形にしたり、コインは一目で見渡せるようにトレー形に広がるように仕立てたり。「ギャルソン・パース(=小さなバッグ)」と呼ばれることもある程、ギャルソンがその場で会計するためのアイデアが詰まっています。
アートレザーをざっくりと使いやすく
FRUTTIのPasso Cremi(パッソ クレミィ)は、ギャルソンウォレットならではの使いやすさと、夕陽を連想するようなアートレザーを同時に楽しめるのが特徴。
ウォレットを覆うレザーは、光を浴びてきらめく色の雫や小さな宝石を並べたような仕立てです。表面に施された独特のエンボス加工は、レザーの表面にフィルムを貼ったあとに、特別な手法で仕立て上げたものです。タンナーも「きれいなレザーだろ」と笑うばかりで、作り方は秘密のよう。表面全てを加工で覆いつくさないことで、レザーが持つ、指になじむ柔らかさも味わえます。
【FRUTTI】「ドレスアップは夕陽に照らされて」
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薄型の秘密は、ふわりと包む封筒のフォルム
コインケースがトレーのように大きく開いて、一目で見渡せる使いやすさが魅力のギャルソン財布。通常はコインケースが大きい分、どうしても分厚くなりがちですが、濱野家から誕生したのはすっきりとした薄さが嬉しい“薄型”のギャルソン財布です。日本女性のためにバッグを作り続けてきた濱野家だからこそ、お財布もお洒落に楽しんでもらいたい…そんな想いから当主が着目したのが、ギャルソン財布には珍しい“薄さ”でした。
お財布を包み込むようなかぶせがあると、どうしても厚みが出てしまうから、封筒のような形にすることで、かぶせる範囲を最小限に。手に持つ部分の厚みをなくすことでスマートさを実現しました。また、かぶせ部分は、ふっくらと丸みを出すことで濱野家が代々大切にしてきた女性らしい曲線美を描いています。
曲線美を生かして、フォルムはふんわり優しく。ふかふかのシュリンク革は、指先に触れる度に嬉しくなるような、柔らかな質感に仕上がっています。
【傳濱野】ギャルソン財布には珍しい“薄さ”が魅力の長財布
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